「使用期限がはっきり書いてないものの使用期限ってどうやったらわかりますか?」
Yahoo!知恵袋で「化粧品 使用期限」と検索すると2,341件が並びます。上位10件はどれも、期限の読み方が分からない、書いていないものはいつまで使えるのか、という質問でした。
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期限を書く決まりは、国の告示で2種類に限られている
化粧品の容器に使用期限を書かなければならないのは、どんな化粧品か。厚生省告示第166号(昭和55年9月26日)が、化粧品について次の2つを挙げています。
化粧品
一 アスコルビン酸、そのエステル若しくはそれらの塩類又は酵素を含有する化粧品
二 前号に掲げるもののほか、製造又は輸入後適切な保存条件のもとで三年以内に性状及び品質が変化するおそれのある化粧品
アスコルビン酸はビタミンCのことです。ビタミンC(アスコルビン酸・その塩・エステル)か酵素を含むものと、3年以内に変わるおそれがあるもの。化粧品で期限を書く決まりがあるのは、この2種類です。
「3年」の出どころは、告示のただし書き
同じ告示の冒頭(どれを指定するかを述べた柱書き)には、次のただし書きがあります。
ただし、製造又は輸入後適切な保存条件のもとで三年を超えて性状及び品質が安定な医薬品、医薬部外品及び化粧品並びに法第五十条第五号又は第六号の規定により有効期間又は有効期限が記載されている医薬品を除く。
このただし書きは柱書きにあるので、上の一にも二にもかかります。ビタミンCや酵素を含む化粧品でも、3年を超えて安定なものは期限を書かなくてよい、ということです。資生堂のお客さまサポートも、製造後3年以内に変質するものを除いて使用期限を表示する必要はない、と説明しています。
よく聞く「未開封なら3年」の「3年」は、ここから来ています。ただし、書いてある条件を読むと、意味は少し違います。
- 数え始めは製造又は輸入のときで、買った日ではない
- 適切な保存条件のもとで、という条件がついている
- 告示は開封・未開封には触れていない。開けた後の期間についても、この告示は何も言っていない
∴ 期限が書いていないことは、「買ってから3年使える」という意味ではありません。
製造番号と使用の期限は、第61条では別の項目
「23L01って 2023年12月までって事でしょうか?」という質問もありました。
化粧品の容器に書く事項は、薬機法第61条に並んでいます。
三 製造番号又は製造記号
五 厚生労働大臣の指定する化粧品にあつては、その使用の期限
製造番号・製造記号と、使用の期限は、別の項目です。使用の期限は、上の告示で指定された化粧品にだけ求められています。
第61条には、製造番号や製造記号の書き方の定めはありません。英数字の並びの意味はメーカーごとに違うので、この記事では読み解きません。
ビタミンC・酵素入りを楽天で集めた
楽天市場APIで「ビタミンC 美容液」「ビタミンC 化粧水」「酵素洗顔」「酵素洗顔パウダー」「アスコルビン酸 美容液」「ビタミンC誘導体 化粧水」の6語を、各上位30件×2ページ取得。サプリメントやセット品を除き、説明文が同じ別出品をまとめて186件。そのうち全成分が最初から最後まで読めたのが74件。
74件の全成分を、告示の一の文言(アスコルビン酸、そのエステル若しくはそれらの塩類又は酵素)に合わせて見ました。
| 全成分に入っていたもの | 件数 |
|---|---|
| アスコルビン酸・その塩・エステル | 57 |
| 酵素(パパインなど、成分名で確認) | 15 |
| 両方 | 10 |
| どちらかを含む(57+15−10) | 62 |
ビタミンCの仲間でも、アスコルビルグルコシド(糖と結びついた形)や3-O-エチルアスコルビン酸は、エステルでも塩でもないので、文言の上では一には入りません。そうした成分だけを含むものが2件ありました。二に当たるかどうかは、製品ごとの安定性によります。
62件のうち、商品ページで期限に触れていたのは1件でした(「消費期限パッケージに記載」)。
これは、書き忘れという意味ではありません。期限を書く決まりは容器にかかるもので、商品ページにはかかりません。3年を超えて安定だと確かめた製品なら、ビタミンC入りでも期限を書かなくてよいことになっています。
∴ 商品ページで期限が分からないのは、そういう仕組みだからです。確かめる場所は、届いた容器です。
8品目(化粧水・乳液・クリーム・ファンデーション・アイシャドウ・マスカラ・日焼け止め・口紅)で広く見ても同じでした。
| 8品目・378件の商品ページ | 件数 |
|---|---|
| 期限の日付か、書いてある場所に触れている | 2 |
| 「期限」の語がある(上を含む) | 5 |
| 「未開封なら◯年」と書いている | 0 |
| 開けた後の目安に触れている | 5 |
8品目を各上位30件×2ページ取得し、品目ごとに説明文の重複を除いて378件。「ポイントの有効期限」「小ロット」など期限と関係のない語は除いた。
開けたあとの期間は、法律に書かれていない
開けた後に何か月使えるかは、告示にも第61条にも書かれていません。
資生堂のお客さまサポートも、開封後の期間を数字では示していません。においや分離、色の変化がなく買ったときと同じ状態なら使える、ただしなるべく早く使いきるように、という説明です。
商品ページで開けた後の目安に触れていたのは378件中5件で、「開封後は6か月を目安に」のように、メーカーや製品ごとの目安でした。
11日後に、別のやり方でもう一度数えました
2026-09-23 に、品目と数え方を変えて数え直しました。2つの数字は、母集団も「該当」の決め方も違います。どちらかが間違いというわけではないので、両方の条件を並べます。
| 2026-09-12 の調査 | 2026-09-23 の調査 | |
|---|---|---|
| 母集団 | 化粧水・乳液・クリーム・ファンデーション・アイシャドウ・マスカラ・日焼け止め・口紅の8品目×各2ページ、説明文の重複を除いて 378件 | 化粧水・クレンジング・洗顔料・乳液・美容液・日焼け止めの6語×各3ページ、商品コードの重複を除いて 508出品 |
| 何を「該当」としたか | 開けた後の目安に触れていたもの | 「開封後」の語と月数・年数の数字が両方あるもの |
| 該当した数 | 5件 | 1出品 |
新しいほうの508出品では、「開封後」の語があるのは15出品(3.0%)あり、そのうち月数まで書いていたのは1出品だけでした。その1出品は日焼け止めで、「※開封後は6か月を目安に使い切ってください。」とありました。
「使用期限」と書いてあった6出品は、何を書いていたのか
508出品のうち「使用期限」または「使用の期限」の語があったのは6出品(1.2%)です。6件という数だけを見ると「少しはある」と読めますが、1件ずつ読むと、意味が3つに分かれていました。
| 何を書いていたか | 出品 | 実際の文 |
|---|---|---|
| 店が発送する在庫の期限を案内 | 3 | 「本商品は、使用期限が2027-03-11/2027-03-28の商品の中からランダムで発送いたします」(韓国を本店とする海外ショップ) |
| 注意書き(期限そのものは書いていない) | 2 | 「使用期限を過ぎた製品は使用しないでください」(化粧品用グリセリン) |
| 店の出荷の方針 | 1 | 「ご使用期限またはご賞味期限は、商品情報内に特に記載が無い場合、1年以上の商品をお届けしております」(販売店の記載) |
∴ この508出品の中に、日本のメーカーが自社の化粧品について「この商品の使用期限は◯年です」と書いた例は0件でした。3件は店が在庫の話をしていて、2件は「期限を過ぎたら使うな」という注意書きで、期限の日付そのものはありません。
通販の商品ページには、製造番号も書かれていません
同じ508出品で、期限以外の字も数えました。
| 説明文に書かれていた字 | 出品 | 割合 |
|---|---|---|
| 「製造番号」「製造記号」「ロット」 | 0 | 0.0% |
| 「6M」「12M」などの月数マーク | 0 | 0.0% |
| 「品質保持期限」「賞味期限」「消費期限」 | 3 | 0.6% |
🔴 この0件の読み方には注意が要ります。上で見たとおり、第61条が求めているのは「その直接の容器又は直接の被包に記載されていなければならない」——現物の容器や箱への記載であって、通販サイトの商品ページではありません。∴ 「製造番号0件」は、容器に書かれていないという意味ではなく、通販ページの説明文には書かれていないという意味です。この調査では、現物のパッケージを1つも見ていません。
裏を返すと、買う前に画面で確かめる方法は、ほぼ無いということです。確かめる場所は、届いた容器です。
なお、開けた後の期間に決まりが無い以上、大容量ほど「使い切れないまま残る」ことになります。下は500mL入りのクレンジングオイルの例です(上の508出品には入っていません。別に選んだ1点です)。
ここまでで言えること
- 化粧品で使用期限を書く決まりがあるのは、告示が挙げた2種類(ビタミンC・酵素を含むもの/3年以内に変わるおそれのあるもの)
- その2種類でも、3年を超えて安定なものは除かれる。「未開封なら3年」の「3年」はこのただし書きから来ている
- 期限が書いていないのは、製造・輸入から、適切な保存条件のもとで3年を超えて安定とされているため。「買ってから3年」ではない
- 容器に書く製造番号・製造記号と、使用の期限は別の項目(第61条)
- 開けた後の期間は、法律に定めが無い
- 508出品を数え直すと、日本のメーカーが自社商品に「使用期限は◯年」と書いた例は0件。「使用期限」の6件は、店の在庫案内と注意書きだった
- 通販の商品ページには、製造番号も月数マーク(6M・12M)も0件。ただしこれは容器に無いという意味ではない(第61条が求めているのは容器・被包への記載)
同じ「表示の決まり」でも、医薬品と化粧品では別の話になります。ワセリンは、白色ワセリンが医薬品、ヴァセリンが化粧品で、分かれ目は「医薬品か化粧品か」でした。
ビタミンC・酵素入りを選ぶときに
ビタミンC(アスコルビン酸・その塩・エステル)や酵素が全成分にある化粧品は、告示で期限を書く側に挙げられているものです。届いたら、まず容器で使用期限を探してください。書いていなければ、3年を超えて安定とされている製品です。
もうひとつは量です。開けた後の期間には決まりがないので、使い切れる量を選ぶのが確実です。酵素洗顔パウダーには、1回ずつ分けた分包もあります。
商品
告示の一に当たる成分を、全成分に含む化粧品から3つ並べました。3つとも、リンク先と同じ出品の全成分で成分を確認しています。
ナリス化粧品 スキンローション ビタミンC 500ml
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437円/全成分にアスコルビルリン酸(ビタミンCのエステル)。今回見た商品ページで、期限の書いてある場所に触れていたのはこの1件で、「消費期限パッケージに記載」とあった。
熊野油脂 ビタミンC配合 酵素洗顔 130g
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398円/全成分にアスコルビン酸とパパイン(酵素)の両方。表の「両方」10件のうちの1つ。
ととのい 酵素洗顔パウダー 0.7g×10包
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748円/全成分にパパイン(酵素)。1回分ずつの分包なので、開けた後の期間を気にしなくてよい量で使える。
まとめ
- 「化粧品 使用期限」で知恵袋を検索すると2,341件。上位10件はどれも、読み方や書いていないものの扱いを聞いている
- 使用期限を書く決まりがある化粧品は、厚生省告示第166号の2種類だけ。そのうえで、3年を超えて安定なものは除かれる
- 期限が書いていないのは「買ってから3年」という意味ではない。製造・輸入から、適切な保存条件のもとでの話
- 容器に書く製造番号・製造記号と、使用の期限は、薬機法第61条で別の項目
- ビタミンC・酵素入りの74件のうち62件が告示の一に当たる成分を含んでいたが、商品ページで期限に触れていたのは1件。確かめる場所は容器
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